連合軍本部基地の一室の扉を開くと、十天魔女全てが集結していた。


『クリス…お疲れ様でした』


女王ルーシャが柔らかな笑みを投げかける。


『クレアから話は聞きました
 聖地を封じた様ですね』


クリスが頷き、口を開く。


『ですがまだ3つの聖地が
 残されています』


『調べはついてるのかい?』


少し低めの艶のある声の主は“紅雷<コウライ>の魔女”ジェイナ・シエラシオネだ。


『…いえ』


ジェイナは魔女のトンガリ帽の渕に息を当てて、胸を寄せる様に腕を組んだ。


『私達でも知らない
 伝説の地…か…』


『魔力在る処に伝説有り、だ
 …私達は伝説を調べた方が
 効率良さそうだな』


十天を見渡す様にして“滅土<メツド>の魔女”エレノア・エリザベスが話す。


『…そうですね』


ルーシャが頷き、暫く考える。


『十天の長として命じます
 ウィンリィとラナ、ニーナは
 諜報部と共に各地の伝説を
 調査してください
 先は見えないですが…
 よろしく頼みますよ』


『わかりました』


『クリス』


急にクリスの眼にルーシャの視線がぶつかった。


『はい、陛下』


『ありがとう…
 これからも頼みます』


少し憂いに満ちた主君の眼は、しばらくクリスの視線と重なっていた。