captivate

「北はどう動いてる?」


気になったのは北の動向だった。


もし南だけではなく北の大国まで魔女狩りに乗り出せば、事実上ヨーツンヘイムは世界を敵にすることになる。


「まだ動いていないわ。北は保守派だし大丈夫かも…だけど…」


クレアが不安げに答える。


「北は大戦の同盟国だけどこれを機に弾圧が激化する、っていう可能性もあるよ?…国を挙げてってのは無いと思うけどね」


ベアトリーチェも少し参った様に肩をすくめる。


「最後にもらった連絡は?」


「南が何かおかしい。今から誰も南に送るな、って」


クレアが応える。


どうやらこの話以上に事態は面倒な事になってるようだ。



そう思いながら溜息を吐き、クリスは返事した。


「…承知した。その依頼受けるよ。陛下に許可を頂いてから、救出は俺の部隊で行く」


そう言い、振り返って部屋を出た。


「まずは宮殿に行くよ。嫌な予感がする」


それは本心だった。


これは言ってみれば歴史的大事件だ。


にも関わらず、魔女がいる国に、その当事者がいる事が、クリスにはどうしても理解出来なかった。