聖ミミル湖湖畔―――――。


2つの影が絶えず衝突し、間を取っては再び衝突し、それで生じる衝撃が、静かに雪の舞い散る湖畔を揺らす。


ダームが技の反動で一瞬脚の止まったクリスに向かった。


その間合いを敢えて更に詰める様に、クリスが太刀を逆手のまま駆け…2つの力が真っ向からぶつかった。


先程までと違い、一撃の衝突から間髪居れずに次の動作へ繋がる。


クリスの左手からの一閃が防がれたら、次は右手からの一閃。


ダームはそれを見事なまでに防ぎ、クリスの両腕が塞がっているのを見て、ボディへと瘴気の渦巻く拳を繰り出す。


それを瞬時に右手の剣で払い、身体を軸に反時計回りに回転する。その間、左手の刀を順手に持ち替え、正確に首を刎ねる剣閃を描くクリス。


ダームは拳を白雪の積もる大地に突き刺し、それを支えに身体を翻して剣を交わし、再び間合いを取る。


ダームの拳の一撃のあった場所だけ、周囲とは違う、爛れた大地に変わっていた。


それを横目に見たクリスは、改めて闇系譜の邪気を痛感する。


再び視線を戻して、今度はクリスから一歩目を踏み出した。


『参式・閃華』


気を集中し、己の限界を超えた速さを以て繰り出す“突き”。


力が一点に凝集されたクリスの技が、敵将を捉えた。