先輩は知らない。



隣で私が、先輩に恋に落ちたことも、
見るだけという選択肢を捨てたことも、全部。



それでいいんだ。



今日は、このままでいいの。



でも明日は、明日からは……

大翔先輩に宣戦布告してやるっ!



だから、待ってて下さいね。



叶わない恋だろうとなんだろうと、
私、簡単に諦めようなんて考えない女なので!



そんな意味を込めて笑いかけると、

どうしたの?っておかしそうに笑う大翔先輩。



「なんでもないですよ!」



そう言って、また前を向いた。



こんなに楽しくて輝いている帰り道は初めてだ。



「大翔先輩、助けてくれてありがとうございました。」



「いいえ。ケガしてるわけでも、体調が悪いわけでもないみたいで安心したよ」



やっぱり先輩は、優しい。