* 大翔 side *




ひと目見た瞬間、ドキっとした。



動くことができなくなって、
視線の先にいる女の子を見て立ち尽くしてた。



4月、桜の花びらが風でヒラヒラと舞う中、

不安と期待が入り混じった表情をした女の子は
こちらに向かってきた。



俺は新入生案内係で、この大きい校舎内で迷わないようにと、教室の場所を教えてた。



その女の子は、俺の隣にいる男に話しかけて
教室の場所を聞いた。


…そこ代わってくれ。


なんて、柄にもないことを思いながら
別の新入生の女の子に教室を聞かれて、笑顔で案内をした。









「いいなー、理央!
桐生さんと同じクラス!!」



「そうか?でも話したことないんだよなー…
すっげー優しそうだけど。」



「例えば?」



「いっぱいあるよ。
もうすぐ授業だってのに、ケガした子放っておけなくて、保健室まで一緒に行ってあげて、
遅刻しても、そのケガした子を理由にしないし、

この前は学校三日間休んだ子に
三日間分の教科のノート全てルーズリーフに書いて渡してたし」



「すげー!!優しすぎて泣けてきた」