「下駄箱に紙…?」
11月の半ば、
相変わらずみんなからの視線が痛いけど、
なんとかやっていけてる
そんなある日の朝。
理央くんに、“下駄箱に紙切れなかったか”って聞かれた。
もちろん、そんなの見た覚えがない。
どうやら、女の子たちがコソコソと話してた内容がたまたま聞こえたらしく、
それが紙切れのことだったみたい。
きっと悪口とか書いて入れてるんだろうな。
結構前からそれをやってるみたいだけど、
私は一度も見たことがない。
沙耶ちゃんに聞いても、今日聞いたのが初耳だっていうから、尚更分からない。
ただ1つ言えるのは、
誰かが私がそれを見ないように、
毎朝早く来て取ってくれてるってこと。
まあ、3人の先輩たちが思い浮かぶけど…。
きっとその中の誰かが取ってくれてるんだと思う……。
「私って幸せ者だね」
「…なんでそう思うの?」
沙耶ちゃんの言葉にクスクスと笑う。
「だってさ、沙耶ちゃん。
こんなにも私のこと守ってくれる人が、
笑顔にさせてくれる人が、
側にいてくれる人がいるんだよ?
それって、幸せなことじゃない?」
そんな私の言葉を聞いた沙耶ちゃんは、
柚乃らしいね、って言って微笑んだ。


