「やぁ、待っていたよ」 暖炉の灯りが、私と男の影を揺らした。 外は、吹雪いている。 凍てつく闇の冷たさを、暖炉の炎が焼き尽くす。 そんな気がした。 「怯えなくてもいいよ。 今日からは、ここが君の家みたいなものだから。寮生もたくさんいるし、君ならきっと仲良くなれる」 男が言った。 若い男だった。 銀色の長い髪から僅かに、不釣り合いな真紅の耳飾りが見える。 「じゃ、行こうか。 これから始まる、新しい生活の幕開けだ」