幕末の雪

永倉と同様どうにかしなければいけないと思っているのが土方と藤堂。


そして、時が経てばどうにかなっていると考えるのが近藤、沖田、斎藤と反対派だった。


二週間はかかってしまったが、入隊にはいささか強引な所があった。考慮に入れるとすれば、しばらくは落ち着くのも大切だろう。


「そんなに気になるなら、土方さんの自腹で宴会でも開いてみてはどうですか?」


「おい総司!なんで俺が…」


「気になるんでしょ?山崎君に監視させておいて。きっと気づいてますよあの子」


悪戯心旺盛な笑顔を見せながら、沖田は宴会の話を他の面々に切り出した。


まだ近藤達が江戸の試衛館にいた頃から、皆が酒を沢山飲むことを知っていた沖田。


豊玉発句集というネタを持ちながら、あえてまだ使わず、金銭面から土方の面子を崩そうと企んでいるのだった。


いや、企むというよりは断れず、泣く泣く支払う土方を見たいのだが。


もちろん土方に宴会の資金全てを支払う余裕は、給金前で全くない。


「僕はお酒飲まない代わりに甘味でいいですから」


(何が“代わりに甘味でいい”だ!お前の給金の半分が甘味に消えてるの知ってんだぞ……!)


言い合いを始めそうな土方と沖田を見て、藤堂は何かを思いつくようだった。


(甘味…団子…。あ、そっか!)


「それじゃあさ、花見しない?」