山崎は、観察型として先入観を持ったり情が移ってはいけないからである。


誰だって信用しようとはするが、心の何処かに疑いの心は必ず存在する。


誰かが片方を捨てる時は、その捨てた側に着く人間がいなければ組織は成立しない。


考えの相違は時には非情な事態を招くかもしれない。分離の果てに、殺し合ったり……。


だが、それでも必要な事は全員がわかっていた。


いつも通り陽は一番に食べ終え、部屋を出て行く。


「こりゃまずいよなぁ……」


大きなため息を吐いて、永倉は頭をかいた。


「何がまずいんだよ新八」


原田が尋ねると、同じく伺うように視線が永倉に集まった。


原田に尋ねられたことは不本意であったが、永倉は一度頷き口を開く。


(機嫌損ねんなよ…左之)


「アイツの事だよ。…なんつっーか、全く黙ったまんまってゆーかよ…日に日に悪化してねえか?」


「何だよ、アイツの事かよ。俺達は関係ないだろ」


声色はいつとも通りだが、陽が悪いという考えをさも当たり前の様に言う原田に、永倉の眉がピクリと動いた。


「ほら!それだよそれ!お前のそーゆう態度が出てんだよなあ〜!」


永倉に指を差され、原田は俺か?と驚いて自分を指差した。


その隣では永倉に賛同するように、藤堂が頷いている。


「ま、直したところで喋ってくれるとは思わねえけどな」


「結局俺のせいじゃないんだな」


つくつぐ永倉は馬鹿だな、と原田はこういった時に思うのである。