幕末の雪

軽く嫌味をこぼす原田と、陽の肩を持つ永倉。暫く同じ会話を繰り返す二人。


藤堂はそれを聞いて口を尖らせた。


「ちげえよ…。あんなだけど、アイツと一緒に新撰組でいられるって思ったら、ちょっと嬉しくてさ」


だからあからさまに悪口言うなよ。と、藤堂は二人を軽く睨んだ。


「「わ、悪りい…」」


「今見てるだけじゃ普通のヤツっぽくて、不思議ってだけなんだよ」


三人からの視線を感じ、陽は顔を上げる。だが、目が合うなり無愛想に逸らした。


その態度に、三人はそれぞれ別の反応を見せる。


藤堂は悲しそうにしょげて、原田は陽と同じく無愛想に目を逸らし、永倉は仕方ねえかと諦めた。


三人を見ていた沖田は、三馬鹿でもバラバラなのか、とくだらない事で笑顔を浮かべる。


「どうした総司」


「あの三人が面白くてさ。ねえ、あの子どうなるのかな。一君はどう思う?」


沖田の問いに深い意味はなかった。


だがこの先、陽と自分たちの関係がどう動くかもわからなかった。


「俺には鷹尾を組に入れた責任がある。少なくとも左之の様な態度を取るわけにはいかない」