幕末の雪

意外にも真面目なことを言った沖田に、周りは微妙な気持ちになり、拍子抜けした返事しかできなかった。


沖田はそれを察したものの口には出さず、ただ顔でものを言うかのように怪しい笑顔を見せた。


皆、本当失礼だなぁ?


そう言っているように感じ、四人はピクリと肩を震わせた。


「あの日から被害者は十九人。ほとんど二日に一人以上の確率で事件は起きてます」


「確かにそうだがな…」


だから、僕が行けば相手を確実に仕留められる。と言う沖田に対し懸念の色を含んだ言葉を吐いたのは、副長の土方歳三だった。


沖田とは違った部類の男らしい美形である土方は、美形の多い新撰組の中でも一、二を争う整った顔立ちだが、その気短い性格と眉間に皺を寄せた表情から「鬼の副長」と恐れられている。


「何なんですか。やればいいでしょう」


答えを曖昧にする土方に、沖田は口を膨らませた。


だが土方には正直に頷けない理由があった。それは沖田以外の全員が思っていたことだ。