沖田とは目も合わせずに藤堂は出口を目指す。
……が。
「総司くん……この手は何かな?」
がっしりと肩を掴む手が微塵も動かない。
仕方なく振り返ると、やはりあのお得意の笑みを浮かべていた。
もう逃げられない。そんな事はきっとここに来た時からわかっていたんだろうけども。
藤堂はヒクヒクと口角を引きつらせて笑った。
「ははっ…は…は、……嫌だあああぁぁぁ!!!」
その叫び声を部屋の中から聞いていた原田は、苦笑いを浮かべた。
「ははっ、ご愁傷様なこった……」
ーーーー
夜の巡察から帰ってきた三番隊。もう辺りは真っ暗で、提灯の明かりが照らせる範囲では視界も狭かった。
その分部屋のあちこちで行灯に灯りをともした新撰組屯所は少しは遠くからでも場所がわかった。
門の両脇では松明が焚かれており、ここを通るのも随分と当たり前のことのように慣れた。と斎藤は思った。
江戸から京へと来た者たちよりは少し遅れての入隊だったが、江戸では近藤らと顔見知りであり、少しも遅れはとっていない。
今では変わらず無愛想ではあるが信頼される組長の一人で、新撰組の中でも一、二を争う剣客でもある。
……が。
「総司くん……この手は何かな?」
がっしりと肩を掴む手が微塵も動かない。
仕方なく振り返ると、やはりあのお得意の笑みを浮かべていた。
もう逃げられない。そんな事はきっとここに来た時からわかっていたんだろうけども。
藤堂はヒクヒクと口角を引きつらせて笑った。
「ははっ…は…は、……嫌だあああぁぁぁ!!!」
その叫び声を部屋の中から聞いていた原田は、苦笑いを浮かべた。
「ははっ、ご愁傷様なこった……」
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夜の巡察から帰ってきた三番隊。もう辺りは真っ暗で、提灯の明かりが照らせる範囲では視界も狭かった。
その分部屋のあちこちで行灯に灯りをともした新撰組屯所は少しは遠くからでも場所がわかった。
門の両脇では松明が焚かれており、ここを通るのも随分と当たり前のことのように慣れた。と斎藤は思った。
江戸から京へと来た者たちよりは少し遅れての入隊だったが、江戸では近藤らと顔見知りであり、少しも遅れはとっていない。
今では変わらず無愛想ではあるが信頼される組長の一人で、新撰組の中でも一、二を争う剣客でもある。
