今回ばかりはそうはいかないがーーー。


「じゃあこういうのなんてどうです?」


パッと笑顔を浮かべ前に出たのは、一番隊組長の沖田総司だった。


その声の主に他の四人は少なからず、嫌な予感がする、と覚悟した。


きっと彼が言うことは突拍子もないことだとわかっているのだろう。


それほど、沖田の普段からの言動は他とは少し違ったところがあった。


剣の腕だけで言えば、新撰組の中でも一番と言えるほどのものだし、甘味好きというのを除けば整った顔立ちからも、女受けしそうなかなり有能な男である。


だが口を開けば「斬る」だの「殺す」だのをさも当たり前のように言うし、人の嫌がることが好きで、とにかく性格は良くない。


「僕が武士のふりをして囮になるっていうのは」


「「……囮?」」