もちろん土方は新撰組への入隊を促す理由も口にはしたが、少女は初めから答えを決めており聞いてはいなかった。


ただ自分が新撰組に入る、という事だけはあり得ないと思ったのだ。


土方やそれ以上に沖田が落胆していたのはよく覚えている。


だがそれ以上に新撰組に入ることの意味がわからなかった。自分への利点は何か。こいつ達の利点も存在するのか。


きっと理屈以外に入隊を頷けない根本的な物が何かあるのだろうと、少女は感じていた。


(入隊を断ったから、この監視付きの窮屈な暮らしなのか……)


いくら人を殺す精神力を持っていたとしても、それは殺意や憎悪任せのものであるし表現は悪いが“慣れる”。


しかしこの空間でずっと監視されながら過ごすことには、違う精神面が削られ少女には苦だった。


苛つきが体の中に蓄積していく感覚はあるが、それをぶつけるものもない。