そのためには少なからず少女を入隊させる必要がある。


「きっとこのまま放り出しても、あの子が幸せになることなんてない……」


「……」


沖田の言葉について土方は黙り込んで考えた。


その時、そっと部屋の障子が開けられた。


廊下に正座し此方(こちら)を見ていたのは山崎で、二人と目が合うなり一度礼儀正しく頭を下げた。


「あの者が目覚めました。特に変わった様子はありません」


「そうか」


土方は立ち上がり、部屋を出る前に横目で沖田を見た。


見なくてもわかったが、沖田も少女の元へ行く気満々らしく軽そうに腰を上げていた。


いい機会かもしれない。どうせ放っておいても進展などしないのだろう。


それなら少しでも荒療治ながら挑戦してみようではないか。土方は、後についてくる沖田を振り返り真っ直ぐに目を合わせた。


「例えあいつが“それ”を了承しても、最終的な決定権は近藤さんに任せるからな」


「はい!」


沖田は子供のような笑顔で嬉しそうに頷いた。