「反省の気ぐらいはある。だが、だからって話の筋まで通ると思うなよ」


聞く姿勢は見せるものの、話まで簡単に沖田の思う通りには進められないだろう。


個人の判断で新撰組を危険に晒すわけにはいかない。


しかも土方は新撰組のその部分を大きく担う存在だ。責任も多く背負っている。


「相変わらず堅い人だな。…ねぇ、良いでしょう?あの子を新撰組の隊士にはしませんか」


思った先からこれかと土方は呆れるしかない。


沖田の口から放たれた言葉の内容よりも、嫌なことを思った矢先に言ってのけた沖田の勘の鋭さというべきか、悪運の強さと言うべきか。


真剣な瞳に反し、怪しく釣りあがった口角に土方は肩を落とした。


「土方さんだって本当はそうしたいんじゃないですか?」


少女を捕らえる前から組内では、少女を新撰組の隊士として迎えてはどうかという考えはあった。


しかし、それは少女ではなく仮定の殺人像を想像した上での話であり、被害者が敵ということから味方ではないかという推測があったからだ。


だが今はどうだろう。


捕まえた殺人犯は少女な上、簡単に仲間として新撰組に尽くしてくれそうな人間か?


……そう言われて頷ける人がいれば、きっとそれはただの馬鹿か、脳のない人間だ。


鬼の副長さえそう思うほど、彼女の新撰組入隊は安易に決めていいものではなかった。