少女は近藤が一人の女子に対してそう思う事は理解できたが、それが自分に向けられているということが理解できなかった。


自分の命が“大切に思われる対象”である事を知らなかった。


「……勝手な事を押し付けるな。人を殺せないなら生きる価値もない」


まるで沖田の言いそうな言い分だ。


二人には重なった何かが見えたような気がしたが、当の沖田は少女の知り得ない過去を考えるばかり。


顎に手を添えて真剣な面持ちのまま動かなくなってしまった。


しかし、少女の過去とはここまで彼女を殺人に縛り付けるものなのか。


何を言えばいい。何を言えば少女は真っ当に生きようとしてくれるのか。


誰もが下手に出ることばかりを考えていた時、ただ一人土方は堂々とした態度で振舞った。


「お前が人を殺すのに執着する意味は知らん。それはお前が話そうとしないからだ。誰も自分を分かってくれないんじゃねえ。お前が自分を分からせないようにしてんだろうが」


「……んだと…」


「それでも見ず知らずの俺達が人を殺したテメエを救おうとしてんだぞ。ちっとは気持ちの一つも組めねえのか」


「……っ」