幕末の雪

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朝餉を終えた後、土方に呼ばれ幹部隊士達は土方の部屋へと集まった。


既に原田、永倉と共に昨日沖田が捕らえた少女もいる。


永倉新八


二番隊組長。組で一、二を争う怪力でその筋肉のついた姿は堅苦しく見え近寄りがたい。


だが実はかなり明るく、藤堂、原田と連んで周りからは「三馬鹿」と称されるほどおちゃらけている。


しっかりと目を覚まし、真っ直ぐ背筋の伸びた正座をする姿は、やはり昨日まで追っていた殺人犯の想像図とは程遠い。


ただ口元は固く結ばれており、朝なのに瞳は変わらず暗い。


それにとても珍しく艶やかで長い髪は、赤黒い色をしていた。


部屋の中央にいる少女を取り囲む様に、幹部達は部屋の各隅々へと適当に座り込んだ。


その際沖田は軽く睨むように土方と目を合わせた。


(何で刀を隠してるこの部屋に連れて来たんです?馬鹿なんですか)


(うっせぇ!永倉と原田が連れてきたんだよ!)