幕末の雪

結局三人は部屋の前からどかず、朝を迎えた。


少女は起きているのかわからない。


しかし代わりに三人は少しだけ睡魔に襲われていた。


ウトウトと首を時々揺らす藤堂と、起きながら目を閉じている沖田。


斎藤はあまり眠たそうには見えないが、少女と対峙する前の緊張のせいからか、少しの疲労を感じていた。


「総司、斎藤、平助」


名前を呼ばれその方向を見ると、そこには寝巻きから既に着替えた土方が立っていた。


どうやら土方は書類に追われながらも睡眠をとったらしく、三人に比べると顔色が良かった。


「お前ら交代もせずにずっといたのか」


確かに時間が経ったら交代しろとは言われていたのだが、三人が気付いた時には朝になっていた。


「永倉と原田呼んでくるからお前ら朝餉までの間寝てろ」


「土方さんが心配なんて珍しいじゃないですか」


沖田の嫌味ったらしい笑顔はいつもと変わらずといったところだ。


まだそんな事言う元気あるのか。と土方は呆れながらため息をついた。


「んな眠そうな顔して隊の士気悪くするような真似してほしくないからだ。とっとと寝ろ!」


「はーい」


「土方さんありがとな」


「失礼させてもらいます」


頭を下げながら、それぞれ自室へと歩いて行った。


土方が永倉と原田を呼びに行く時、三人の部屋の前を通ると、既に規則正しい寝息が聞こえた。