だからこそ少しは素直になれた。
「私も、悪かった……。それに、藤堂…傷つけて……、」
そこまで言って陽は一度唇を噛み締めた。
言う言葉はただひとつ。
(これで、変われるんだ……)
一歩。進む、それだけ……
「……ごめん、なさい…」
自分で心臓の脈打つ音が聞こえて、視界の端で誰かが目を見開くのを見た。
速まった鼓動が治まりそうにもない。
掠れそうな小さな声だったが、静寂の包む部屋の中であの夜のように陽の声は鈴の音のように鳴った。
どうしてだか、陽は涙が出そうになった。
その声を聞いて藤堂は弾かれたように陽の悲しそうな瞳を見る。
だが明らかに今までの様に過去を背負うための真っ暗な悲しみとは違う。色を取り戻しつつある陽の、心から人を思う悲しみだった。
背丈の低い陽が座り込んでいると、同じく背丈の低い藤堂からしてもより小さく見えた。
その上壊れそうなほどか弱そうで、人を斬っていたことなど忘れさせるほど儚げであった。
そんな姿を見て何故だか愛おしく感じてしまう自分は一体どうしてしまったのか。
胸の底から溢れ出る陽への熱い想いが堪えられず、藤堂は部屋の中へ駆け寄ると力一杯に陽を抱きしめた。
「……!」
陽は目を見開き、暫くしてようやく自分が抱きしめられていることを理解した。
「もっと俺達のこと信頼しろよ!これから俺、陽が認めてくれるように頑張るから!」
陽が新撰組と出会って、今この瞬間があること。それ以上に藤堂は陽と笑いあえる未来を望んでいた。
「藤堂…」
抱きしめた想いと口にした思いは繋がっているようできっと全くの別物。
だが力強く抱きしめる背に回った腕からは、何よりも伝えるべき気持ちが伝わっていた。
(こいつも本気で、大切にしようとしてくれてるんだな……)
「私も、悪かった……。それに、藤堂…傷つけて……、」
そこまで言って陽は一度唇を噛み締めた。
言う言葉はただひとつ。
(これで、変われるんだ……)
一歩。進む、それだけ……
「……ごめん、なさい…」
自分で心臓の脈打つ音が聞こえて、視界の端で誰かが目を見開くのを見た。
速まった鼓動が治まりそうにもない。
掠れそうな小さな声だったが、静寂の包む部屋の中であの夜のように陽の声は鈴の音のように鳴った。
どうしてだか、陽は涙が出そうになった。
その声を聞いて藤堂は弾かれたように陽の悲しそうな瞳を見る。
だが明らかに今までの様に過去を背負うための真っ暗な悲しみとは違う。色を取り戻しつつある陽の、心から人を思う悲しみだった。
背丈の低い陽が座り込んでいると、同じく背丈の低い藤堂からしてもより小さく見えた。
その上壊れそうなほどか弱そうで、人を斬っていたことなど忘れさせるほど儚げであった。
そんな姿を見て何故だか愛おしく感じてしまう自分は一体どうしてしまったのか。
胸の底から溢れ出る陽への熱い想いが堪えられず、藤堂は部屋の中へ駆け寄ると力一杯に陽を抱きしめた。
「……!」
陽は目を見開き、暫くしてようやく自分が抱きしめられていることを理解した。
「もっと俺達のこと信頼しろよ!これから俺、陽が認めてくれるように頑張るから!」
陽が新撰組と出会って、今この瞬間があること。それ以上に藤堂は陽と笑いあえる未来を望んでいた。
「藤堂…」
抱きしめた想いと口にした思いは繋がっているようできっと全くの別物。
だが力強く抱きしめる背に回った腕からは、何よりも伝えるべき気持ちが伝わっていた。
(こいつも本気で、大切にしようとしてくれてるんだな……)
