「総司は凄えよ。……あいつだけは、最初から信じてた」
呆れ交じりに吐かれた言葉が陽の胸に刺さり、胸の奥からまた何かが込み上げた。
場が静寂に包まれるという時、陽は刀の柄を再び握った。
土方を含めた幹部達がそれを見て表情を変えそうになるが、堪えて必死に見守った。
陽の目をまっすぐ見れば、ちゃんとわかる。
“沖田を傷つけないこと”だけは信じられる。
だがそれは大きな行為だった。信じるということ、そして陽が信じてくれた人を傷つけないということ。
この人たちとなら……感じ取れはしなかったが、陽は胸の内で微かにそんな気持ちを持った。
閉じていた口をそっと開き、刀を握る手に力を込める。
「…斬れない」
どんなに降り絞ろうとしても、出てくる言葉はそれだけだった。
「それは僕が斬るに満たない存在だから?」
陽は首を振る。沖田は更に続けて陽に問うた。
「斬る理由がないから?力が出なくて斬れない?本当は仕返しされるかもしれないから?」
何(いず)れにも陽は首を振った。
そんな理由なら陽は既に沖田を斬っている。今まで理由すらなく、仇のために見知らぬ人間まで斬ってきたのだ。
死ぬことだって怖くはない。
新撰組の優しさに触れ、心で会話をしたのようなそんな気がした。自分が不器用ながらも想われる対象であると感じた。
個々がしてくれた様々な行動を思い返し、沖田は斬るべきでないと判断したが、それを上手く言葉にできない。
伝える事がこんなにも難しいのかと、何年も一人きりで居た真っ暗な過去を思い起こす。
もう二度と人と言葉を交わす事はないと、人斬りだった頃の自分は人形のようだった。
新撰組にであったばかりの頃もそうで、今だって仲間を持つ意味もわからないし、信頼する気もない。
それなのに、どうしても見えかけた目の前の光だけは失いたくなかった。
手を伸ばせば、変われる気がした。
「変わりたい……。お前を斬ったら、何も…変わらないっ…」
呆れ交じりに吐かれた言葉が陽の胸に刺さり、胸の奥からまた何かが込み上げた。
場が静寂に包まれるという時、陽は刀の柄を再び握った。
土方を含めた幹部達がそれを見て表情を変えそうになるが、堪えて必死に見守った。
陽の目をまっすぐ見れば、ちゃんとわかる。
“沖田を傷つけないこと”だけは信じられる。
だがそれは大きな行為だった。信じるということ、そして陽が信じてくれた人を傷つけないということ。
この人たちとなら……感じ取れはしなかったが、陽は胸の内で微かにそんな気持ちを持った。
閉じていた口をそっと開き、刀を握る手に力を込める。
「…斬れない」
どんなに降り絞ろうとしても、出てくる言葉はそれだけだった。
「それは僕が斬るに満たない存在だから?」
陽は首を振る。沖田は更に続けて陽に問うた。
「斬る理由がないから?力が出なくて斬れない?本当は仕返しされるかもしれないから?」
何(いず)れにも陽は首を振った。
そんな理由なら陽は既に沖田を斬っている。今まで理由すらなく、仇のために見知らぬ人間まで斬ってきたのだ。
死ぬことだって怖くはない。
新撰組の優しさに触れ、心で会話をしたのようなそんな気がした。自分が不器用ながらも想われる対象であると感じた。
個々がしてくれた様々な行動を思い返し、沖田は斬るべきでないと判断したが、それを上手く言葉にできない。
伝える事がこんなにも難しいのかと、何年も一人きりで居た真っ暗な過去を思い起こす。
もう二度と人と言葉を交わす事はないと、人斬りだった頃の自分は人形のようだった。
新撰組にであったばかりの頃もそうで、今だって仲間を持つ意味もわからないし、信頼する気もない。
それなのに、どうしても見えかけた目の前の光だけは失いたくなかった。
手を伸ばせば、変われる気がした。
「変わりたい……。お前を斬ったら、何も…変わらないっ…」
