刀の角度がほんの少しずれた瞬間、藤堂は耐え切れず身を乗り出した。
「総司違うんだ!陽は俺を殺そうとしてたわけじゃない!傷だって凄え浅くて……陽は悪くない!」
このままじゃ陽も沖田も傷つくだけだ。そう思ったのに、沖田は振り返ると静かに口を開いた。
「わかってる。大丈夫、信じてよ」
藤堂や他に口元だけの微笑みを向けて、沖田は再び陽の方を向いた。
「“僕と陽のこと”」
自分の名前が含まれていたことに、陽は目を小さく見開く。
やはり違った。自分が思うほどに、新撰組は無責任な言葉を吐く集団ではなかった。
陽の表情の変化も、陽の先ほどからの異変も沖田はしっかりと見逃さなかった。
だからこそ、陽は力を込めないという自信が沖田にはあった。
一秒が何倍にも感じられる時の中で、刀を腕に当てた沖田と鬼の副長と言われる土方が冷静なのは、異様な光景だった。
「おい、誰か止めろよ…。土方さんは何でそんな冷静なんだよ!」
普段なら真っ先に止めに入るはずだろ!と永倉は訴える。
真っ直ぐに沖田らを見つめるままの土方でなく、返答があったのは永倉の後方からだった。
「総司は信じろと言った。俺達にできるのはそれだけだ」
「だがよ…!」
同じく沖田の後ろ姿を見る斎藤は、永倉に頷く。
冷静さを欠かないのは正に斎藤の性格そのものだが、やはり静かにその拳は力強く握られていた。
斎藤ですら何を信じるべきかわからず、ただ我慢するだけなのだ。
だから永倉も自分から止めに入ることはできず、誰かがこの状況を何とかすることを願うしかなかった。
そして緊迫の中、全員の緊張が頂点に達しようという時に沖田は動いた。
「総司違うんだ!陽は俺を殺そうとしてたわけじゃない!傷だって凄え浅くて……陽は悪くない!」
このままじゃ陽も沖田も傷つくだけだ。そう思ったのに、沖田は振り返ると静かに口を開いた。
「わかってる。大丈夫、信じてよ」
藤堂や他に口元だけの微笑みを向けて、沖田は再び陽の方を向いた。
「“僕と陽のこと”」
自分の名前が含まれていたことに、陽は目を小さく見開く。
やはり違った。自分が思うほどに、新撰組は無責任な言葉を吐く集団ではなかった。
陽の表情の変化も、陽の先ほどからの異変も沖田はしっかりと見逃さなかった。
だからこそ、陽は力を込めないという自信が沖田にはあった。
一秒が何倍にも感じられる時の中で、刀を腕に当てた沖田と鬼の副長と言われる土方が冷静なのは、異様な光景だった。
「おい、誰か止めろよ…。土方さんは何でそんな冷静なんだよ!」
普段なら真っ先に止めに入るはずだろ!と永倉は訴える。
真っ直ぐに沖田らを見つめるままの土方でなく、返答があったのは永倉の後方からだった。
「総司は信じろと言った。俺達にできるのはそれだけだ」
「だがよ…!」
同じく沖田の後ろ姿を見る斎藤は、永倉に頷く。
冷静さを欠かないのは正に斎藤の性格そのものだが、やはり静かにその拳は力強く握られていた。
斎藤ですら何を信じるべきかわからず、ただ我慢するだけなのだ。
だから永倉も自分から止めに入ることはできず、誰かがこの状況を何とかすることを願うしかなかった。
そして緊迫の中、全員の緊張が頂点に達しようという時に沖田は動いた。
