「真琴ちゃん、化粧室はどこかしら?」
先ほど話していた女性に声をかけられる。
フットマンは多くないから予想していた質問で、私は場所を伝えた。
「ありがとう。そのドレス、とても素敵よ」
にこやかに笑って歩いていく姿にお礼を言って、小さく息をついた。
ドレスは本当に素敵なんだけど、年相応で合ってるんだけど…それが悔しい。
早く大人に…なんて、またそんな思いが湧き上がる。
いや、でも焦らないって決めたし。
頭を振って考えをふり払って、ふと視界に映った光景に胸がぐっと押さえつけられた。
何あれ。
とっさに目をそらして、その場を離れる。
仕方のないことかもしれないけど、見ていたくはない光景。
きれいな女性の手を取って歩く、浩人さんの姿なんて。
前にパーティに行った時、私をエスコートしたように他の女性にエスコートしてるのなんて。
わかってる。フットマンの数は多くないから、案内してるだけ。
あれは浩人さんの仕事。
わかっているのに、どうしてこんなに傷ついてるんだろう。
その理由は、考えてみてもわからない。

