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「いや、まさか…ね」
ひとり学校への道を歩きながら呟いた。
頭の中は、専ら昨日の浩人さんのことでいっぱいだった。
何か言いたそうに、じっと見つめてくる瞳。
加えて意味深な発言。
さらには妙に無表情。
うぬぼれるわけじゃないけど……嫉妬してる?
昨日の夜、その考えに行き当たった訳だけど…。
でも、その相手はお兄ちゃんだ。
それなのに嫉妬なんてするかな。
告白された、って報告したときだって、そんな様子はなかった。
全くの他人には嫉妬しないのに、私の兄にはするなんておかしな話だ。
兄とは、どうにかなる可能性なんてないのに。
「真琴、おはよう」
待ち合わせの十字路で、圭ちゃんが待っていた。
「おはよう」
「何でそんな悩んだ顔してるの?」
会って挨拶して、その次の言葉でそう言われるなんて、私はそんなに顔に出ていたのか。
それとも、この友人が鋭いのか。
どっちにしても、問題は言うべきか言わないべきか、だ。
「んー、ちょっとね…」
「お兄さん、帰ってきたんでしょ?楽しみにしてたじゃん」
「お兄ちゃんはいいんだけど…」
「じゃあ、例の人だ」
その通り。
なんでこの友人は、こうも的確に的を射てくるのか…。
ときどき恐ろしい。

