Please be absorbed in me




***


「いや、まさか…ね」



ひとり学校への道を歩きながら呟いた。

頭の中は、専ら昨日の浩人さんのことでいっぱいだった。


何か言いたそうに、じっと見つめてくる瞳。

加えて意味深な発言。

さらには妙に無表情。


うぬぼれるわけじゃないけど……嫉妬してる?

昨日の夜、その考えに行き当たった訳だけど…。

でも、その相手はお兄ちゃんだ。

それなのに嫉妬なんてするかな。


告白された、って報告したときだって、そんな様子はなかった。

全くの他人には嫉妬しないのに、私の兄にはするなんておかしな話だ。

兄とは、どうにかなる可能性なんてないのに。



「真琴、おはよう」



待ち合わせの十字路で、圭ちゃんが待っていた。



「おはよう」

「何でそんな悩んだ顔してるの?」



会って挨拶して、その次の言葉でそう言われるなんて、私はそんなに顔に出ていたのか。

それとも、この友人が鋭いのか。


どっちにしても、問題は言うべきか言わないべきか、だ。



「んー、ちょっとね…」

「お兄さん、帰ってきたんでしょ?楽しみにしてたじゃん」

「お兄ちゃんはいいんだけど…」

「じゃあ、例の人だ」



その通り。

なんでこの友人は、こうも的確に的を射てくるのか…。

ときどき恐ろしい。