Please be absorbed in me



「さて、参りましょうか」


微笑んでドアに手を伸ばしたその人の姿を見て、私は踏み出した足を止めた。


「ちょっと待ってください」

「いかがされましたか?」

「えっと…あなたも一緒ですよね?」

「もちろんです」

「じゃあ…その服、着替えてください」


見るからに執事、と思えるその人の服を指す。

執事さんは自分の服に視線を落とし、そして私を見る。


「いけませんか?」

「…だめでしょう」


執事の格好をしている人を連れて歩くなんてできるはずない。
誰に会うかも分からないし、まず、年上美形と一緒にいるだけでクラスメイトに会ったら面倒だ。

せめて服装は普通にしてほしい。


「かしこまりました。少々お待ちください」


先程と同じように部屋を出ていった執事さんを見送り、私はカーディガンをハンガーから外した。