「なんてね」
ぱっと体を起こして、浩人さんはニッコリと笑顔を浮かべる。
「え…」
「本気にした?」
本気に…した。それでもよかった。
「やっぱり、私が子供だから…?」
「ん?」
「私が子供だから、我慢するんですか?」
嫌だったのは、私が浩人さんに我慢させてるかもしれないということ。
付き合ってるのに、そんなの嫌。
「違うよ」
「じゃあ、なんで…」
「俺は、真琴が大事なんだよ。手を出して満足するようなものじゃない」
浩人さんの手が、伸びてくる。
「真琴と過ごせる時間が大切で、こうやって恋人らしいことをできるのが幸せなんだよ」
髪を撫でて、頬に触れる。
やさしく、包み込むように手が添えられる。
「触れるのも、なくなりそうで怖い。でも同時に逃さないように捕まえておきたいと思う」
「…逃げませんよ」
「…うん、知ってる」
浩人さんは笑う。
ふざけているような言葉とは裏腹に、大切なものを愛おしむような眼差しで。
「真琴が大事すぎて、真琴に触るのが怖い」
「…それじゃ本末転倒ですね」
「そうかも」
ふっと、今度は力が抜けたように笑う浩人さん。
しっかりとした力で私を引き寄せて、その胸に抱きとめる。
その力と言葉にほっと息をついて、私は身を委ねた。

