でも触れたい。
私は両腕を伸ばして、浩人さんの首元に腕を回した。
すがりつく、に近いのかもしれない。
横から抱きついた私に、浩人さんは前にかがめていた体を起こした。
そして首元に回った私の腕に触れる。
「どうしたの」
答える代わりに、さらにぎゅっとした。
肩口に顔を埋めるようにしたら、浩人さんの匂いがいっぱいになる。
「真琴」
浩人さんが、私の腕をはずす。
少し距離があいて見れるようになった顔は、困ったような表情をしていた。
「どうしたの」
「ダメですか?」
「ダメじゃないけど…」
「けど?」
掴まれたままの腕に、浩人さんの目線が向く。
そして再び向けられた目の奥には、ゆらゆらと熱が見えた気がした。
「何されても文句言えないよ?」
大人で、色っぽい微笑み。
心臓が撃ち抜かれたように驚いた。
同時に、嬉しい。
浩人さんが先に進まないのは、多分、私を気遣ってくれてるから。
でも私は、浩人さんに我慢してほしくない。
気遣いなんていらない。
そんなの気にしないでほしい。
うまく言えないけど、好きなら遠慮しないでほしい。
「…浩人さんになら何されてもいいです」
「…それ問題発言」
「でも、本心です」
(余計に問題ある…)
浩人さんが難しい顔をする。
私が良くても、そういう訳にはいかないのかもしれない。

