「言わないと何するか分かんないよ?」
やさしい笑顔を浮かべて、なんてことを言うんだろう。
押さえる手は力強い。
「っ…」
「ほら、言わなくていいの?」
浩人さんの唇が、私の首筋に触れる。
「いや、です…」
こんなのずるい。
「言わないなら、やめない」
なんで怒ってるの。
正直に言わないから?
「っ…」
鎖骨あたりにキスを落とされて、体に力が入る。
まだキスだってしてないのに。
浩人さんは、大人は、すぐにこういうことをするのだろうか。
私は子どもだから、こういったことに抵抗があるのだろうか。
(私はどこまでも子どもだ…)
「浩人、さん…」
「ん?」
浩人さんが顔を上げる。
慣れたような仕草に胸が痛くなる。
私は子どもで、浩人さんは大人。
超えられない壁。
必死で登っても超えられない。
でも、どうしても近づきたい。
隣に立ちたい。
隣に並べるようになりたい。
「好きです…」
好きだから釣り合うようになりたい。
早く浩人さんの隣に行きたい。
「早く大人になりたい…」
ふっ、と腕を押さえていた力が緩んだ。
そして、浩人さんの腕が私の体を抱きしめる。
「そんな急がなくても、真琴は子どもじゃないよ」
浩人さんの体温が、匂いが、私を包み込む。
「でも…」
「それに完璧な真琴が見たい訳じゃなくて隣で成長していくのを見ていたいんだ」

