ソファがないからか、座らされたのはベッドだった。
浩人さんは服の上着だけを脱いで私の隣に座る。
「どうして1人で行きたいの?」
「……」
怒ってるわけではなさそう、と声で判断するけれど部屋に引き入れた理由が分からない。
そして、浩人さんの質問に対する答えを言うことができない。
結果的に黙ったまま、沈黙が流れる。
「真琴」
浩人さんが体を寄せて顔を覗き込んだ。
もう執事の対応ではなくなっている。
ということは、浩人さんはもう私が思っていることを分かっているのかもしれない。
「真琴、何が不安?」
「…っ」
たぶん、全部分かってる。
分かってて、あえて聞いているんだ。
やっぱり浩人さんは大人で、私の考えなんてお見通しだ。
「兄に会うだけなので、浩人さんの手を借りる必要はありません」
でも。それでも甘えたくない。
ここで甘えたら私は成長できない。
「…意地っ張りだね」
浩人さんが呟いた。
同時に肩に浩人さんの手が触れ、私の体は後ろに倒れされた。
腕をシーツの上に押さえながら浩人さんが上に覆いかぶさる。
「え、あの…」
何が起きたのか理解できないままに、浩人さんの顔が近づく。
「素直に言わないと、部屋に帰してあげないよ」
深く引き込まれそうな瞳が見つめる。
(怒ってる…?)
「ほら、言わないの?」
浩人さんの声が、耳に響く。

