机に向かったはいいけど一向に進まない勉強に、息をついてシャーペンを投げた。
気にしすぎ。
圭ちゃんの言う通りなのかもしれない。
それなら、どうしたら気にしなくなるんだろう。
浩人さんの隣に立とうとするなら気にかかる。
どうしたって意識してしまう。
やっぱり、早く大人になりたいと思う。
社会経験を積むような、この前のような場に行けば少しは近づけるのだろうか。
だけど、ああいった空間にいきなり1人で行くのは難しい。
でも浩人さんと一緒に行くのでは意味がない。
一緒に行けば、浩人さんに迷惑をかけてしまうのは明白だからだ。
あくまでも自分だけで。
いざとなったら助けてくれる人は必要だけど、できるだけ自力で経験を積める場所。
「…あ」
あった。
我ながら良い案が浮かんだ。
(お兄ちゃんの所に行こう)
お兄ちゃんは海外で仕事をしながら勉強中。
もう自立して大人になっている。
それを見たら何か掴めるかもしれない。
それに海外の方がパーティとか多いし、言ってしまえば海外自体が経験を積める場所だ。
たしか、今お兄ちゃんがいるのはタイ。
そんなに遠い国じゃないから、今週末にでも行ける。
思い立ったらすぐ行動。
親の教えに従って立ち上がる。
過去に海外に行ったことはあるからパスポートは持ってる。
問題はそれがどこにあるかだった。
引っ越した時に自分で荷物を出してないから、何がどこにあるのか分からない。
(浩人さんなら分かるかな…)
時計を見れば21時をまわったところ。
私は浩人さんの部屋に向かった。

