少し休んでから会場の中に戻り、また中を歩く。
先程までよりも丁寧に執事の仕事をしてくれる浩人さんに、申し訳ない気持ちがこみ上げた。
しっかりするんだ。
浩人さんにこれ以上の迷惑をかけたくない。
知識不足で何も分からないのは仕方ないから、今この場で学んでいく。
そう考え、できるだけ周りを見て場を知ろうとした。
「真琴様、どうかいたしましたか?」
ふいに浩人さんが私の顔を覗き込む。
「え?」
「表情がかたいですよ。少し休みましょうか?」
「いえ、大丈夫です」
周りを見過ぎて顔が強張っていたのだろうか。
気遣ってくれる浩人さんに笑顔を見せてみる。
しかし、浩人さんは困ったような表情を浮かべて私を会場の隅に連れて行った。
「もっと楽しめばいいのです」
髪を直すように、浩人さんの手が少し触れる。
「言ったでしょう?そのドレス、よくお似合いです」
場から浮いていることなんてない。
浩人さんはそう言っているのかもしれない。
でも、私はそんな風に思えない。
似合うなんて、嘘だ。
浩人さんが見立てたパーティードレスはきれいな青のグラデーション。
裾の方にいくにつれて濃くなっていく青。
大人っぽくて、きれいな大人が似合うドレスだった。
私は着ているよりも着られてる感が強くて、似合ってなんかない。
似合うようになりたいけど、今の私はまだ子どもだ。

