始業式が2日後に迫った日、朝食の席で私は絶句した。
「そんなに気負わなくていいから、ね」
ね、じゃない。
あっけらかんと言うおじい様に、なんとか口を開く。
「どうしてもですか…?」
「できれば顔を出してほしいなぁ」
明日、おじい様の取引先が主催するパーティーがあるから顔を出さないか、ということだった。
小さい頃にそういう場に両親と兄とで連れていかれた記憶はある。
でも、幼い頃と今では求められる教養が違う。
そうお堅いパーティーではないらしいけど、気がひけるのは確かだった。
「浩人もいるし、大丈夫だろう」
「浩人さん、いてくれるんですか?」
おじい様の言葉に、斜め後ろの浩人さんを振り返った。
「はい、もちろん」
やさしく微笑まれて、その目が執事のそれではない気がして、頰のあたりが熱くなる。
「パーティーの時、私は忙しいと思うから浩人と行動してくれ」
居候である手前、断りにくい。
それに、この先そういった場に出ることが増えるかもしれない。
何事も経験するしかない、という両親の口癖を思い出す。
「分かりました」
「浩人、明日は真琴を頼むぞ」
「かしこまりました」
ほっこりと言うおじい様に、浩人さんはうやうやしく頭を下げた。

