Please be absorbed in me

Daily life of the lover


あの日から何かが大きく変わったかと言えば、特にこれといった変化はなかった。

執事のオンとオフは相変わらず不意に切り替えられる。

浩人さんは周りに人がいないことを確認した上で故意に切り替えているのだと、ようやく気づいたのはあの日から一週間ほど経ってからだった。



でも、気づいたところで慣れはしない。

そのうち慣れるものだろうかと、想像も付かない未来を考えてみた。

しかし、考えてみたところで顔に熱が集まるだけに終わる。

慣れるとは到底思えなかった。

それというのも、2人きりでいるときの浩人さんの雰囲気が、仕草が、甘すぎてくすぐったくて厄介だった。


「真琴、コンビニ寄っていかない?」


部活動の帰り道、圭ちゃんが指をさす方向に目を向けて頷く。

圭ちゃんには浩人さんに打ち明けて、付き合うことになった翌日に全て報告した。

けれど、今の悩みは相談していない。



(どうしようかな…いや、どうしようもないけど)


ガラスケースの向こう側にある飲み物を眺めながら息をつく。

慣れるしかないのだろう、たぶん。

何度目かの同じ結論にたどり着いた所で、コンビニを後にする。

その後、分かれ道で圭ちゃんに手を振り、家までの道をまた歩き出した。

近くの公園の桜はもう半分ほど散っていて、新学期もすぐそこだった。