「浩人さんが、好きでいてくれるのは…ありがたいです。でも、だからって、釣り合わない…」
「俺はそう思わないよ」
「違うんです…。私の問題だから、浩人さんがそう思わなくても関係ありません」
分かっていた。
結局は自分に自信がないのが悪い。
隣に並んで、自分が釣り合ってないと気づくのが怖い。
浩人さんが思わなくても、私がそう思うなら意味がない。
「私が…私に自信がないのが問題なんです」
泣きそうになって、必死にこらえる。
それでも溢れてしまいそうな涙を、私はうつむくことで誤魔化した。
「…俺にはもったいないくらいなのにね」
私が突っぱねて開いていた距離が、浩人さんの腕に抱き寄せられてゼロになる。
その胸に顔を埋める形になって、前に微かに感じただけの匂いがいっぱいに広がった。
「難しいこと考えなくていいから、俺のことだけ見て」
耳から浩人さんの声が入り込んでくる。
離れようとは、もう思わなかった。
悩みの前提を「どうでもいい」と言われて、抱え込んでいるのが正しいのかも分からない。
自分の気持ちに嘘をついても、胸が苦しくなる一方でしかない。
「ただ、隣にいてくれればいいから」
浩人さんの香りが、温もりが、声が、私を包み込む。
「俺のこと好きって言って」
もう隙間なんてないのに、さらに強く抱きしめられる。
「でも…」
「言って」
少し体が離れて、至近距離から顔をのぞき込まれる。
その細められた瞳にじっと見つめられて、そのまま吸い込まれそうになる。
「……」

