「真琴様、お召し物ならこちらに」
そう言われて振り返ると、きれいに畳まれた私の洋服がその人の手にあった。
なんで…と思って荷物を置いていた方を見ると、そこに昨日あったはずの荷物はなかった。
(整理してくれた…?)
「ありがとうございます」
素直にお礼を言って服に手を伸ばすと、その手を掴まれた。
「執事ですので、私が」
「…遠慮します」
「そうおっしゃらずに」
にこ、と笑顔を浮かべて、なんておかしなことを言うんだろう。
「自分で着替えます」
「左様ですか…」
目の前で落ち込む様子に心が痛まないでもないけれど、それとこれとは話が別だ。
「はい。着替えるので出てください」
「かしこまりました。外でお待ちしております」
静かに閉じた扉を見つめて、私は苦い想いを胸の中に押し込んだ。

