「俺のこと好きで仕方ない、って顔」
「…そんな顔してません」
「してるよ。すごく分かりやすい」
「……」
見つめる先でその表情が硬くなって、瞳がゆらゆらと揺れる。
真琴はきゅ、っと口を結んでうつむいてしまう。
どうしても言わないつもりなのか。
その胸の奥に閉じ込めるのか。
なんで。
想いあっているなら、どうして閉じ込める必要があるのだろう。
「俺のこと好き?」
「…だから、好きじゃありません」
「嘘つきだね」
「…嘘じゃありません」
頑なに否定する彼女を、もう一度胸に引き寄せる。
今度は少し抵抗してみせる体を抱き込んで、力を込めた。
「好きでしょう?」
「……」
「好きって言って」
抱きしめた体が震えている。
一体何を抱え込んでいるんだ。
全部さらけ出して、甘えてほしい。
悩む隙もないほど、俺のことしか見えないほど、夢中になってほしい。
俺が他の人なんて目に入らないのと同じくらいに。
「…私は、隣には立てない」
「ん?」
聞こえた言葉の意味を図りかねて、自分と向き合わせてから顔を覗き込んだ。
真琴の瞳はゆらゆらと揺れて、でもしっかりと俺を見つめる。
「私じゃ釣り合わない…っ」
彼女の言わんとしていることが分かって、思わず瞬きを繰り返した。
そんなことで、と思ってしまう。
そして、どれだけ自分を低く評価しているのか。
「そんなの、どうでもいいよ」

