「俺のこと好きで仕方ない、って顔」
「…そんな顔してません」
「してるよ」
「……」
見つめる先で、鋭い瞳はどんどんその勢いをなくし、瞳が不安そうにゆらゆらと揺れる。
そして、きゅっと口を結んだまま、また真琴はうつむいた。
俺は知っている。
幼い君が俺を慕ってくれていたこと。
無垢なあの頃、真琴は何に縛られることなく、真っ直ぐな言葉でその気持ちを伝えてくれた。
そうやって、俺を空虚だった世界から引き上げてくれた。
それが、今はもう変わってしまったのだろうか。
(違うと思いたい)
真っ赤に染まった頬が、耳が、その心の移り変わりを否定してくれている。
それなのに、どうしても言わないつもりなのか。
その胸の奥に閉じ込めるのか。
どうして。
想い合っているのなら、なんでその気持ちを閉じ込める必要があるのだろう。
「俺のこと好き?」
「…好きじゃありません」
「嘘つきだね」
「…嘘じゃ、ない、っ…」
頑なに否定するその瞳を覗き込んで目線を合わせて、さらに体を近付けた。
今度は少し抵抗してみせた手を握る角度を変えて、真琴の手の平を自分の頬に触れさせる。
「好きでしょう?」
「……」
「好きって言って」
頬に触れる手が震えている。
一体、何を抱え込んでいるのだろう。
その心にあるものを全部さらけ出して、甘えてほしい。
悩む隙なんてないほど、俺のことしか見えないほど、夢中になってほしい。
俺が他の人なんて目に入らないのと同じくらいに。
「…私は、隣には立てない」
「ん?」
聞こえた言葉の意味を掴みかねて、逸らしている顔を覗き込む。
真琴の瞳はゆらゆらと揺れて、でも、ようやく、しっかりと俺を見つめた。
そして、潤んで揺れる瞳がついに零れる。
「私じゃ釣り合わない…」
彼女の言わんとしていることが分かって、思わず瞬きを繰り返した。
そんなことで、と思ってしまう。
そして、どれだけ自分を低く評価しているのか。
「そんなの、どうでもいいよ」

