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「で、そのまま気まずいの?」
「うん…」
次の日、午後からの部活が終わった後、圭ちゃんを誘ってファミレスに入り、自分の中で押し留めていたものを吐露した。
「真琴もその人のこと好きなんでしょ?」
その質問で、圭ちゃん言いたいことは分かった。
私が自分の想いを伝えれば、確かに一瞬で解決する話だ。
でも、今のまま気持ちを伝えたとしても、その先が全く想像できない。
「…私じゃ釣り合わない」
「うーん…相手が年上だとそう思っちゃうよね。向こうはもう働いてるわけだし」
「うん…」
「ただ、真琴が気にしすぎだとも思うけどね」
「だって、浩人さん、すごい大人なんだよ。隣に並び立つのはきれいなお姉さんだよ」
「向こうは今の真琴を好きって言ってるんでしょ。なら、そんなに気負わなくていいんじゃない?」
気負っている。
確かにそうかもしれない。
でも、気にしないなんて無理だ。
浩人さんの隣に並ぶならどうしても意識してしまう。
「難しく考え過ぎなくていいんじゃない?」
私が難しい顔をしていたのか、圭ちゃんはオレンジジュースを赤いストローで飲みながら言った。
「私、自信がほしいんだと思う」
「自信?」
「あの人の隣に並び立てる自信。今の私には到底ないけど…」
「どうやったら自信つくの?」
「……わかんない。けど、付き合ったとして、浩人さんかっこいいから、ライバルがたくさんいると思う。その中には私よりもずっと魅力的な人がいるだろうし、そんな人たちに負けない自信がない」
感情が溢れ出したら止まらない。
圭ちゃんに甘えて、私は言葉を続ける。
「いつか、浩人さんから手を離されるのが怖いの」
「…真琴、もう相当好きじゃん。その人のこと」
「…うん」
圭ちゃんは困ったように笑って、私がまだ一口も飲んでいない烏龍茶のグラスにも赤いストローをさしてくれた。
「自信なんてさ、きっと後からついてくるものよ」
グラスを私に近づけて、圭ちゃんは言葉を続ける。
「未来のことなんて誰も分かんないし、付き合ってからどう頑張るかじゃない?」
「うん…」
「とにかく真琴は、その人に抱きついて『好きです!』って言えばいいの」
「え」
「わかった?」
「……」
圭ちゃんの圧に押されて思わず小さく頷くと、圭ちゃんは満足そうに笑った。
(それができたら苦労はしないけど…)
頷いたものの、やっぱりこの気持ちを伝える勇気はまだない。
自信がほしい。
同じところでグルグルと考え込むよりも、自信をつける方法を探してみるのが一番堅実な道かもしれない。
圭ちゃんの言葉を頭の中で繰り返してみながら、そっと息をついて目を伏せた。

