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「真琴、お疲れー」
午前の部活動が終わり、友達の圭ちゃんが遅れて女子部室に入ってきて、片手を小さく上げながら挨拶する。
「お疲れ」
「なんかあった?」
「え?」
的確な質問に驚いて、私は圭ちゃんの顔を見つめた。
「今日、やけに声に迫力があったから」
「え、うるさかった?」
「ううん。ただ、気迫があるなって思ってさ。迫力があるのはいいことだけど…」
(やっぱり変に思われてた…)
何かはあった。ありすぎてキャパオーバー。
特に昨日は、一日のうちに色んな感情が次々に押し寄せたからか、夜もなかなか寝付けなかった。
最後に時計を見たのが深夜1時頃で、その後、いつの間にか眠りについて目覚めた朝、ごちゃついていた頭は少しだけスッキリしたような気がした。
とはいえ、昨日から何も状況は変わっていない。
これからどうしたいのか、浩人さんへの気持ちをどうするのか、私はまだ考えなきゃいけない。
寝不足でいつもより気合を入れて集中する必要があったし、一旦何も考えたくなくて部活に全力で取り組んだのだけど、側から見たら変だったのかもしれない。
「いいんじゃない、たまには。『東堂はやる気があるなぁ!』って先生は喜んでたし」
「そっか」
「それで、何があったの?」
「うん、まぁ、いろいろと…ね」
「ふーん、まあ、無理には聞かないでいてあげましょう」
肩をポン、として圭ちゃんはあっけらかんとした様子で言った。
「…ありがとう」
「あんまり気を張りすぎたらしんどくなるよ」
「うん。しんどくなったら相談する」
「しんどくなる前に言いなさい」
「はい」
つん、と圭ちゃんに肩を指でつつかれて、笑みが溢れた。
「他の部員は気迫に押され気味だったけど、先生はかなり嬉しそうだったよ」
「いつも『剣道は声だ』って言ってるもんね…」
そうそう、と圭ちゃんは大袈裟にため息をつく。
「ほんと面倒くさいわ」
「圭ちゃん、それ失言…」
圭ちゃんは気にした様子もなく肩をすくめた。

