Please be absorbed in me



***

「え、じゃあ外国の大学に行ってたんですか?」

「そうだね」


テラスがある喫茶店の、そのテラス席で、思わず声が大きくなってしまった。

それというのも、浩人さんは海外で飛び級をして大学を出ているという話を聞いたからだった。

頭の切り替えが早いなんてものじゃなさそうだ。

とんでもなく頭がよくて、見えてる世界が違うんじゃないかと思ってしまう。


「勉強ならいくらでも教えるよ」


カップをソーサーに置いて、浩人さんは頬杖をつく。


(なんて絵になるんだろう…)


一連の動作は流れるように綺麗で、落ち着いていて、大人で。

私のような子どもが一緒にいて、どういう関係だと思われるんだろう。


「苦手教科は英語だったよね」

「よく知ってますね」

「色々知ってるよ?」


浩人さんは楽しそうな笑顔を浮かべた。

なんでも見透かしているような、深い色の瞳。


(大人の余裕、ってこういうのを言うのかな)


「…私は、何も知らないです」

「ん?」

「浩人さんのこと、知らないです…」


かすかに、浩人さんが目を大きくした気がした。


「聞いてよ。教えるから」


すぐに優しい笑顔になって、浩人さんはテーブル越しに距離を寄せる。


「なんでも聞いて」

「……何型、ですか」


何を聞いたらいいのか、私の口をついたのは血液型だった。

浩人さんは少し声をあげて笑う。

それは新鮮で、浩人さんの笑い声は素敵だった。


「A型だよ」


笑いながらそう答えた浩人さんに、もっと笑ってくれないかな、と私は思考を巡らせた。