満足したのか、浩人さんは腕の力を緩めた。
そのことにほっと息をついて、私は浩人さんの胸を押してさらに距離を取る。
「分かった?」
笑顔を浮かべているけど、どこか責めるような声で、浩人さんが言う。
“分かった?”って、どういう意味で。
危機感うんぬんの話は、よく分からない。
でも。
「私には、浩人さんだけ…です」
私は浩人さんのもの。
それは分かる。
「…うん」
やさしく抱きしめられる。
その温もり。今は私だけが感じることを許されているもの。
私は浩人さんのもの。
それがひしひしと感じられて、胸が甘く締め付けられる。
嬉しい。
私も同じ気持ちを返したい。
いつも浩人さんがくれる幸せを、愛情を、同じように伝えたい。
そんな思いを込めて、浩人さんの背中に腕を回す。
ぎゅっとすれば同じ力で抱きしめ返されて、私はさらにしがみついた。

