「ほら、次の写真見せて」
楽しそうに催促する様子に、もうヤケになって画面を横にスクロールする。
私ばっかりドキドキして、浩人さんは余裕そうで、悔しい。
大人の余裕を見せられたような気がして、私も浩人さんを翻弄してやりたい。
さらには自分で画面をスクロールし始める浩人さんの手前で、私は眉間にしわを寄せた。
なんとか翻弄して、浩人さんが慌てる様子を見てみたい。
「これ、誰?」
ぎゅっと、腰にあった手に力が込められると同時に、いつもより低めの声が響く。
目線を落として自分の携帯の画面を見ると、部長と私のツーショットが表示されていた。
「その人は部長です。今日の大会で入賞した2人で撮ってもらって…」
「近い」
「…え?」
近いって…別に密着してるわけじゃないし。
ギリギリ肩が当たらない距離。いや、当たっていたかもしれない。
でも、周りには他の学校もいてあまりスペースがなくて、仕方がなかった距離感だった。
「近くはないと思います…」
「ねぇ、真琴」
するり、と浩人さんの手が私の手をなぞる。
私の手から携帯電話が取られ、代わりに浩人さんと手がつながった。
「真琴は危機感が足りないよ」
「危機感…?」
いつもより声が低い気がする。
そのことに疑問を感じながら、背中側にいる浩人さんを振り向く。
その奥に熱を宿した瞳が、私を捕らえた。

