「そのように顔を隠されていては、信用できませんよ」
顔を見せろ、と。
優しい執事の口調で、その声は拒否を許さない。
握りしめていた手を緩めれば、隠れ蓑はすぐに引き剥がされた。
「…っ」
「…顔真っ赤」
「誰のせいですかっ!」
「俺じゃないよ?」
あぁ、もう。顔が熱い。
楽しそうに笑う浩人さん。
残っている記憶が邪魔をして、浩人さんを直視できない。
「なんで目、逸らすの?」
「だって…ちょ、近いです!」
「ん?」
思い出してしまうから、恥ずかしいから。
たぶん分かってて、浩人さんはやっている。
「近い?さっきはもっと近かったよ」
「そ、れは…」
そうだけど。
…思い出させないでほしい。
引き寄せられた腕の強さとか、…舌の感触とか。
そんなところだけ妙に覚えてて、それがいたたまれない。

