彼女の崩れてしまった髪をほどいて、手ぐしで整える。
おとなしく勝手にされているのが貴重で、いろいろやってみたくなってしまう。
自分の中の悪戯な部分が顔を覗かせている。
額に、頬に、唇を押し当てていく。
応じるように、ぎゅっと瞳が閉じられる。
今度は唇に。
また瞳が閉じて、再び開いたとき、その目は少し不機嫌になっていた。
「浩人さん、慣れてますよねー」
首をこてん、とひねり、むっとした表情になる。
いや、かわいいだけなんだけど。
「ドレスが似合ってるとか、さらって言っちゃうし…」
「本当に似合ってるからだよ?」
そう返せば、さらにその表情が険しくなる。
瞳が潤んで、頬が赤いから剣幕はないけれど。
「どうせ私はお子様ですよー」
と、そっぽを向いてしまった。
ん?どういう状況?
「それよりもキレイなお姉さんがいいですよねー」
棘のある言い方に違和感を覚えて、その顔をこちらに向かせる。
「俺は真琴がいいんだけど」
不信感を滲ませた目がじっと見つめる。
「…分かってますよ。こんなことで悩む必要なんてないの」
今度は泣きそうに揺れる瞳。
しゅん、とした様子に、頭を撫でる。
「でも!だからって解決しない!」
突然の勢いに、思わず驚く。
どうにも情緒不安定なようだ。

