Please be absorbed in me



***

「さて、どこから見ましょうか」


駅前の道は人通りが多い。春休みは尚更のこと。

しかし、周りから送られる熱い視線を気にする様子もなく浩人さんは私に微笑んだ。


(すっごく目立ってる…)


女性の視線がこんなに集まるなんて、有名人と良い勝負かもしれない。


「真琴様?」


ふいに顔を覗き込むようにされて、とっさに身を引いた。


「“様”ってつけるのやめてください」

「しかし…」


困ったような表情を浮かべる浩人さんにつられて、私も眉を寄せる。


「できるだけお願いします。人前では特に」

「かしこまりました」

「あまり堅すぎる言葉遣いもやめてくださいね」

「…分かりました」


少し考えるようにしてから、浩人さんはそう言ってやさしく笑った。

和らいだ口調と執事感が薄れたことに安堵のため息をつく。


「これくらいなら大丈夫ですか?」

「はい、ありがとうございます」

「気にしないでください。さて、どこから見て回りましょうか」

「あ、じゃあ…あのお店見ていいですか?」


適当なお店を指して歩き出す。
女性の視線を集めてやまない浩人さんは「もちろん」と頷いた。

イケメンで紳士。大層モテるに違いない。

女性の視線を気にしてないってことは、こういう状況に慣れてるのかな。

(顔が良いのも大変そうだな…)