「じゃあ、あれがいい。先週作ってたやつ。……肉じゃが?」

恭弥がふっと目を細めて、柔らかく笑った。
こんな穏やかな笑顔見たの、初めてかもしれない。
やっぱり私と恭弥の関係は、良い方向へ向かって進んでる、そんな風に実感できる笑顔だった。

「それ、しょっちゅう作ってるやつじゃん。
どっちかっていうと、手抜きメニューだよ?」

「オーソドックスなのが一番良いんだって」

「作り甲斐ないなぁ……」

私がふふっと笑うと、彼は満足したように食事に向き直った。


恭弥と二人でいる時間を、初めて愛おしいと感じた。
これが来週も、再来週も、そのまた先も続いていくのだとしたら。
こんなに幸せなことはない。