恭弥が歩道の脇にあった階段を指差した。
そこを昇ると開けた広場になっていて、木々や植え込みには華やかな電飾が施されていた。
道の端まで行って辺りを見渡すと、真っ暗な海が広がっていて、その手前と奥に散らばった明かりが美しくも儚く、ちらちらと揺れては輝いていた。
私は端の手すりに掴まって、ぼんやりと階下を眺めながら、その景色に心を震わす。
「のんびり夜景を見られるなんて久しぶり」
私が笑顔で言うと、彼はやれやれといった顔をしながらも小さく微笑んでくれた。
ふと恭弥が手すりに肘を掛けながら、私の方へ向き直った。
「なぁ、さっきあの人が言ってたこと、本当?」
「さっきって?」
私が不思議そうに恭弥の顔を見上げると、彼は気まずそうに視線を逸らした。なんだかいまいちもごもごと口ごもっている。
「……お前がいじけてるって話」
「……ああ。えっと……」
由利亜さんに『恭弥が話をしてくれないから、私がいじけている』なんて告げ口されたのを思い出して、身体を強張らせてうつむいた。
改まって面と向かって聞かれたら、どう答えていいかわからない。
――ちゃんと話してみればいいのに――
由利亜さんに後押しされた言葉が、脳裏をよぎった。
私はおそるおそる顔を上げて、怪訝な表情で私の言葉を待っている恭弥へ口を開く。
「恭弥は、私のこと、興味ない……よね?」
「はぁ?」
「あ、や、別に、興味を持てってことではなくて。いいんだけど。別に」
「……何が言いたいんだよ」
恭弥は眉をひそめた。少しだけ苛々している。
まぁ、分からなくもない。聞き方が少し遠まわし過ぎた。はっきりとしない私の物言いは、結論を急ぎたい彼の性格とは合わないのだろう。
そこを昇ると開けた広場になっていて、木々や植え込みには華やかな電飾が施されていた。
道の端まで行って辺りを見渡すと、真っ暗な海が広がっていて、その手前と奥に散らばった明かりが美しくも儚く、ちらちらと揺れては輝いていた。
私は端の手すりに掴まって、ぼんやりと階下を眺めながら、その景色に心を震わす。
「のんびり夜景を見られるなんて久しぶり」
私が笑顔で言うと、彼はやれやれといった顔をしながらも小さく微笑んでくれた。
ふと恭弥が手すりに肘を掛けながら、私の方へ向き直った。
「なぁ、さっきあの人が言ってたこと、本当?」
「さっきって?」
私が不思議そうに恭弥の顔を見上げると、彼は気まずそうに視線を逸らした。なんだかいまいちもごもごと口ごもっている。
「……お前がいじけてるって話」
「……ああ。えっと……」
由利亜さんに『恭弥が話をしてくれないから、私がいじけている』なんて告げ口されたのを思い出して、身体を強張らせてうつむいた。
改まって面と向かって聞かれたら、どう答えていいかわからない。
――ちゃんと話してみればいいのに――
由利亜さんに後押しされた言葉が、脳裏をよぎった。
私はおそるおそる顔を上げて、怪訝な表情で私の言葉を待っている恭弥へ口を開く。
「恭弥は、私のこと、興味ない……よね?」
「はぁ?」
「あ、や、別に、興味を持てってことではなくて。いいんだけど。別に」
「……何が言いたいんだよ」
恭弥は眉をひそめた。少しだけ苛々している。
まぁ、分からなくもない。聞き方が少し遠まわし過ぎた。はっきりとしない私の物言いは、結論を急ぎたい彼の性格とは合わないのだろう。


