一年半ぶりにスカートを履いた。
なんだか『お母さん』が『女の子』に戻ったようで、照れくさい。
試着を終えて元のパンツ姿に着替えた私は、試し終えたスカートを手に試着室を出た。
すぐ脇の壁を背もたれにして待っていた恭弥が、反射的にこちらへ振り向いて、何故だかげんなりする。
「な、何? どうしたの?」
「……こういうときって、着替えた格好を俺に見せるもんじゃねぇの? 待ってた俺の立場はどーなんの?」
私の手の中のスカートを陰鬱そうな目で睨みながら、恭弥は言う。
「……私のスカート姿、見たかった?」
冗談のつもりで言ったのだが、あろうことか素直に「うん」と頷かれ、唖然としてしまった。
「私のスカート姿なんか見てどうするの?」
「一般的に男は、女子のスカート姿を見たいもんだろ?」
さも当たり前のように彼は言う。
思わず私は吹き出してしまった。
普段は女なんか興味ないような顔してるくせに、結局恭弥もそういうの、好きなんだ?
私はにやにやと笑いを堪えながら、ぶうたれた彼の顔を覗き込んだ。
「……ひょっとして、恭弥ってむっつり?」
「人をオカシイみたいに言うなよ! 普通だろ、普通!」
頬を赤くして弁解する恭弥。むきになるから照れているのがバレバレだ。
いつものクールな無表情とのギャップに、なんだか可愛らしいとすら思えて、いじめたくなる。
「うわー、やだー、恭弥カッコ悪ーい」
なおもからかう私に、恭弥は諦めた顔でため息をついた。
「あーもー分かったよ。どうせ俺はいやらしい男だよ」
彼はいじけながら一足先に店の外へ出て行ってしまった。
私はレジに並び会計を済ませ、大きな紙袋を一つ抱えて恭弥の姿を追いかける。
なんだか『お母さん』が『女の子』に戻ったようで、照れくさい。
試着を終えて元のパンツ姿に着替えた私は、試し終えたスカートを手に試着室を出た。
すぐ脇の壁を背もたれにして待っていた恭弥が、反射的にこちらへ振り向いて、何故だかげんなりする。
「な、何? どうしたの?」
「……こういうときって、着替えた格好を俺に見せるもんじゃねぇの? 待ってた俺の立場はどーなんの?」
私の手の中のスカートを陰鬱そうな目で睨みながら、恭弥は言う。
「……私のスカート姿、見たかった?」
冗談のつもりで言ったのだが、あろうことか素直に「うん」と頷かれ、唖然としてしまった。
「私のスカート姿なんか見てどうするの?」
「一般的に男は、女子のスカート姿を見たいもんだろ?」
さも当たり前のように彼は言う。
思わず私は吹き出してしまった。
普段は女なんか興味ないような顔してるくせに、結局恭弥もそういうの、好きなんだ?
私はにやにやと笑いを堪えながら、ぶうたれた彼の顔を覗き込んだ。
「……ひょっとして、恭弥ってむっつり?」
「人をオカシイみたいに言うなよ! 普通だろ、普通!」
頬を赤くして弁解する恭弥。むきになるから照れているのがバレバレだ。
いつものクールな無表情とのギャップに、なんだか可愛らしいとすら思えて、いじめたくなる。
「うわー、やだー、恭弥カッコ悪ーい」
なおもからかう私に、恭弥は諦めた顔でため息をついた。
「あーもー分かったよ。どうせ俺はいやらしい男だよ」
彼はいじけながら一足先に店の外へ出て行ってしまった。
私はレジに並び会計を済ませ、大きな紙袋を一つ抱えて恭弥の姿を追いかける。


