ぼんやりと生まれ変わった恭弥を見ていたら、ふと彼が校庭の反対側を指差した。
「おい、あれ」
校舎からわらわらと姿を現す子どもたち。
入場門の手前のところに三列に並んで待機を始めた。
恭弥が端の一角を指差し、いつもより少しだけうきうきした声を上げる。
「あそこ、心菜いる」
「え!? どこ!?」
私はそちらを探すも、前に立つ男性の背に隠れてよく見えない。人混みはピークに達していた。
背伸びをしてみても、今度は別の影が邪魔になり、なかなか視界が開けない。
すると突然、恭弥が私の肩に手を回した。
「こっち」
「え?」
恭弥は私の身体を力強く引き寄せると、自分の身体の正面に置いた。
人だかりの中の狭いスペースに押し込められて、私の背中と恭弥のお腹がくっつく。
私の両肩に手を添えたまま、彼は私の頭の上に顎を乗せた。
「ここ、見える?」
「……うん」
私と恭弥の触れ合う部分がじんわりと温かくなる。
上を見上げると、すぐそこに見慣れない恭弥の顔。
近い。近いよ。
どきりと、鼓動が高鳴ってしまった。
今まで、どんなにそばにいても緊張なんてしたことなかったのに。
この近すぎる距離がいけないんだ。
無駄に身体が触れているから。
いくら兄妹とはいえど、性別の異なる身体が触れ合えば、多少なりとも意識はしてしまう。
それとも。
恭弥があのとき、結婚なんて言い出したから、変に意識してしまっているのかもしれない。
そんな気も無いのに、キスなんてしようとするから……
「おい、あれ」
校舎からわらわらと姿を現す子どもたち。
入場門の手前のところに三列に並んで待機を始めた。
恭弥が端の一角を指差し、いつもより少しだけうきうきした声を上げる。
「あそこ、心菜いる」
「え!? どこ!?」
私はそちらを探すも、前に立つ男性の背に隠れてよく見えない。人混みはピークに達していた。
背伸びをしてみても、今度は別の影が邪魔になり、なかなか視界が開けない。
すると突然、恭弥が私の肩に手を回した。
「こっち」
「え?」
恭弥は私の身体を力強く引き寄せると、自分の身体の正面に置いた。
人だかりの中の狭いスペースに押し込められて、私の背中と恭弥のお腹がくっつく。
私の両肩に手を添えたまま、彼は私の頭の上に顎を乗せた。
「ここ、見える?」
「……うん」
私と恭弥の触れ合う部分がじんわりと温かくなる。
上を見上げると、すぐそこに見慣れない恭弥の顔。
近い。近いよ。
どきりと、鼓動が高鳴ってしまった。
今まで、どんなにそばにいても緊張なんてしたことなかったのに。
この近すぎる距離がいけないんだ。
無駄に身体が触れているから。
いくら兄妹とはいえど、性別の異なる身体が触れ合えば、多少なりとも意識はしてしまう。
それとも。
恭弥があのとき、結婚なんて言い出したから、変に意識してしまっているのかもしれない。
そんな気も無いのに、キスなんてしようとするから……


