恋は天使の寝息のあとに

こんなに幸せな時間が、これから先何年も、何十年も続いていくのだと考えたら、気が遠くなるくらい嬉しくなった。

左薬指のリングをそっと撫でながら、これが現実であることを確かめる。

つけているのがもったいなくて、はずすこともしたくなくて。
リビングに戻ってソファに座り、その石の輝きをしばらく眺めながら、これから先のことをぼんやりと思い巡らせる。


これからは夕食を三人分作らなくちゃ。

とりあえず今日はどうしよう。恭弥が好きといってくれた肉じゃがを作ろうか。
そう考えたところで、たった今、安静にしていろと恭弥に念を押されたばかりであることに気がついた。

言いつけを破って家事をしたら、きっと嫌な顔をするに決まっている。
仕方がない。今日は素直に彼の言うことを聞いて寝ているか。

焦ることはない。
三人で食事をする機会は、これからいくらだってある。

この先、私たちは、いつだって一緒にいられるのだから。



彼との約束を宿したリングに、私はそっと口づけた。

この選択は間違っていないと、今なら心の底から言える。

瞳を閉じて誓いを立てた。

私のこの身を、この心を、尽きることなき愛情を。
最愛なる娘と、夫へ。
私の全てを捧げます、と。




【完】